狂言の万蔵師や、お能の九郎右衛門師、宝生欣哉師が お若くて頭角をあらわした頃、 重鎮方が、寄ってたかって 気前よく、胸を貸して、育ててらした。 名人上手勢揃いの舞台はもちろん一番楽しい。 が、名人上手の方々が、お若い方に存分にやれ と付き合っておられる舞台を見るのは格別な楽しさがある。 お若い方が失敗したり成功したりしながら みるみる自信をつけて輝いてゆくのは見応えがある。 落語も、才能あるなって人は、十人抜きの真打ちにしたりする。 小さい業界は一蓮托生。 花と才能のある人が育てば育つだけ、 増えれば増えるだけ、その業界が栄える。 回るお金も増える。後の世につながる。 長く続いてきたものには、 それ相応の理由があるのね。